金銭消費貸借契約書のすべてを解説!~親しき仲にも契約書あり~
1.「消費貸借」とは?
2.金融消費貸借契約の方法は?
3.金銭消費貸借契約書の記載内容
4.金銭消費貸借契約書の作成方法
5.金銭消費貸借契約での担保とは?
6.金銭消費貸借契約での利息とは?
7.金銭消費貸借契約での利益の喪失
8.金銭消費貸借契約書の裁判での有効性は?
9.まとめ
「金銭消費貸借契約書」とは、将来返すことを約束した上で、金銭を使うために借り入れる契約書に伴う書類のことです。
丁寧に解説するとちょっと難しい感じですが、いわゆる「ローン契約」のことです。
貸主は主に銀行や消費者金融などの金融機関が主となっています。
ちょっと理解が難しい「金銭消費貸借契約書」について詳しくご説明します!
1.「消費貸借」とは?
そもそも「消費貸借」とは、借りたものを消費することが前提です。
そして借りたものと同じものを同じ数量を返すことを約束する契約のことで、この借りるものが金銭の場合、「金銭消費貸借契約」といいます。
ここでひとつポイントとなるのが、あくまでも借りるお金がすぐに使う必要のあるお金であることです。
例えば家を買う、車を買う時など、すぐにまとまったお金が用意できない場合、金融機関のローンを利用してお金を借ります。
金融会社は、家を購入した人に代わって家の購入費用を一括で支払います。家を購入した人は、毎月定められた一定の額を何十年間にわたって貸主である金融会社に返済していきます。
この場合の返済額には利子がつくことがほとんどで、この利子分が金融会社の儲けとなります。
もちろん全ての人がお金を借りられるわけではありません。お金を借りるには一定の審査が必要です。数年にわたってでも期限内にお金を返すだけの将来設計がある利用者のみ、金融会社はお金を貸与します。
2.金融消費貸借契約の方法は?
契約は、お金の借主が将来返すことを約束し、お金の貸主が借主へ金銭を渡した段階で有効に成立します。
この際に金銭消費貸借契約書が作成されることが一般的です。
この書類があることで、いつでも契約内容の存在を確認・証明することができ、後々双方で起こりうる紛争を防ぐために役立ちます。
同じような効力を持つものに借用証書というのもありますが、借用証書が一通しか作成されずお金を貸した方にしか控えが残らないのに対し、金銭消費貸借契約書は借主・貸主それぞれの手元に残るよう2通作成されることが多いのが通例です。
3.金銭消費貸借契約書の記載内容
発行される契約書によって差はあるものの、一般的に記載する必要がある項目は以下の通りです。
①・双方の氏名
金銭を貸した方と借りる方両方の氏名です。
②・貸与日
金銭を貸主が借主に貸した日の日付です。
③・貸与金額
貸主が借主に貸したお金の総額です。
④・貸付の実行方法
貸主がどのように借主にお金を融資するかの方法です。お金を貸す上での前提条件を一緒に記載することが多いです。
⑤・元本返済について
借主が借りたお金を、いつまでどのような方法で貸主に返済するかです。
⑥・利息の定め
貸与されたお金に利息がつくのか。つく場合はどれくらいの利息計算になるのかです。
⑦・遅延損害金の定め
もしも、借主が期限内に貸主にお金を返さなかった場合に発生するお金の事です。
⑧・保証人・担保の定め
契約に際しての連帯責任を持つ第三者の氏名です。万が一返済が完了しなかった際に受け渡す金銭同等価値の担保のことです。
4.金銭消費貸借契約書の作成方法
ほとんどにおいて、お金を貸す側の金融会社が独自の金銭消費貸借契約書を作成します。
お金を借りる方は、契約書に書かれている内容を熟読した上で納得し、双方合意のもとで契約を交わします。
たとえば自分が事業主で、金銭消費貸借契約書を作成する場合は、インターネット上で様々なパターンのフォーマットが用意されていますので、その中から契約条件を詳細に記入できるものを選びプリントアウトをし活用すると良いでしょう。
個人間でお金の貸し借りをする際も同様です。借用書だけではいざという時の効力が弱く、裁判で争った時に十分な証拠にならないことがあります。
きっちりと金銭消費貸借契約書を作成し、さらに 公証役場において公正証書を作成することで、よりその効力を発揮することができます。
金銭消費貸借契約書に記載する金額が1万円を超える場合は、収入印紙を貼付する必要があります。
1万円以上10万円以下→200円
10万円超え50万円以下→400円
50万円超え100万円以下→1000円
というふうに金額によって収入印紙代は上がっていき、最高で20万円分の印紙が用意されています。
なお収入印紙貼付の際に消印がないと、印紙税法違反になる可能性があるので注意してください。
5.金銭消費貸借契約での担保とは?
多額のお金を借りる際には、質権や抵当権・譲渡担保などの担保物件が求められることが多いです。
「質権」とはお金を貸す代わりに、何かあった時の差し押さえ物を優先的に貸主が占有できる権利です。町中によく質屋がありますが、質屋はお金を借りる方が質屋に同等のものを一定期間預けておきます。
お金を借りて家を購入した場合は、その家に住む権利は購入者にあり、返済を続けながら家に住み続けることができますが、いざ返済に行き詰まった時にその家をどう扱うかの権利はお金を貸した方にあるのです。
「抵当権」とはよく聞く言葉ですが、考え方としては質権ととても似ています。
返済が滞った時に、金銭消費賃貸契約を交わしたお金の貸主に真っ先に債権の弁済を受ける権利があります。しかし質権とは違って引渡しを必要としないため、所有者が引き続き担保を使用し続けることができるのです。
家を購入するにあたって住宅ローンを使用するのは通例になっていますが、厳密に言えばお金を借りて家を購入している時点で、家の本当の所有権はお金を貸している金融機関にあると思っていた方が良いでしょう。
6.金銭消費貸借契約での利息とは?
お金を借りる場合は、それに伴う利息が発生するのが一般的です。利息の契約は利息制限法により上限が定められています。
元本が10万円未満の場合→年20%
元本が10万円以上100万円未満の場合→年18%
元本が100万円以上の場合→年15%
今では上記のような国の定めが厳しくなっているので、いわゆる闇金と呼ばれる法外な金利をとる会社は減ってきています。しかしグレーゾーンでお金を貸しているところもあるので、審査の甘い会社は特に注意が必要です。
実際には上記を超える部分の超過料金は無効となります。
さらに金銭消費貸借契約に利息の定めが記載されていない場合も、利息に関する契約は無効になります。
7.金銭消費貸借契約での利益の喪失
金銭消費貸借契約では、一定の条件を満たせば貸主側が債務者の期限の利益を喪失させる権利があります。
一定の条件とは、お金を借りている方が重大な信用を喪失させた時です。
この貸主側の権利についても契約書に記載されていることが多いです。
債務者による信用を喪失させる事実とは、「借主が他の債務に対し強制執行や保全処分を受けた時」「借主が破産手続きを行った時」「国に納める税金について滞納処分を受けた時」「借主が住所を変更したのに、その旨を貸主に告知しなかった時」など。
今後お金を返してもらえるだけの、十分な信用が得られないとなった時に実行することができる権利です。
8.金銭消費貸借契約書の裁判での有効性は?
「貸したお金がなかなか帰ってこない」「契約書を交わした内容を守ってくれない」などがあった場合は、いくら粘り強く交渉しても個人だけの力ではどうにもならない時があります。
それはお金を借りている側も同様です。
契約書を交わした時以上の利息を請求されたり、期日を守って返済しているのにも関わらず質権を強引に執行されたり。
そのような場合は弁護士の力を借り、裁判などの強制的手続きを行う必要があります。
この時に法的にしっかりと証明になるものが金銭消費貸借契約書です。証拠書類として裁判所から回収を図ることが可能になります。
9.まとめ
もしも簡易的な借用書だけで契約を済ませている場合や、口約束だけの場合は、いざ裁判になった時に有効な証拠とみなされず不利な結果に終わってしまうことがあります。
たとえ少額であろうとも、たとえごく身近な間柄の信頼できる人であっても、必ず金銭消費貸借契約書を作成することを強くお勧めします。