正しい借用書の書き方は?~お金を貸す前に返してもらうコツを知ろう!~
1.そもそも口約束は厳禁!
2.借用書の書き方は?
3.法的に有効な借用書を作るためのコツ
4.まとめ
「儲け話に乗るな」
「お金を貸すな」
「保証人になるな」
これは親の代からよく言われるお金にまつわる「格言」です!
よく考えると、悪いのは儲け話を持ちかけてくる方であり、お金を求めてくる方です。
しかしこの「格言」では、それを受け入れる側に問題があると言われています。
それもそのはず。いつの時代もいい話を持ってくる人や、無理なお願いをしてくる人を治す薬はないと言われているからです。
あとはどんなに親しい間柄でも、それを毅然と受け入れないこちら側のスタンスが強く求められるのです。
それでも「どうしても昔からの付き合いで断ることができない」「相手の将来性を信じ、なんとしてでも助けてあげたい!」ことはあると思います。
そのような時に相手も助け、また自分のお金も守ってくれるのが『借用書』の書き方です。
もしもの時の「お金の取り戻し方」について、詳しくチェックしておきましょう!
1.そもそも口約束は厳禁!
「証拠」を残すこと、これはあらゆる約束事での基本中の基本です。
例えば待ち合わせ場所。いつどこで何時に待ち合わせをするか?今ではメールのやり取りが主流になっているので、必ず「証拠」になって残ります。この証拠を元にして、遅刻した人に「約束と違う!」と言えるんですね。
お金の貸し借りも同様で、「口約束」だけであれば後で言った言わないになることもありますし、貸した金額が曖昧になったり、場合によっては渡した事実さえ忘れられてしまうことがあります。
お金の貸し借りを行っている時に第三者がいたとしても同じです。証拠に残さない限り「相手が嘘を言っている」「記憶にございません」と事実がねつ造されてしまうことがあるのです。
相手が親しい仲であれば、いちいちその場で証拠書類を残すことに抵抗を感じることもあるでしょう。「気分を害してしまうのではないか?」と、貸す方がなぜか気を使ってしまいがちです。
そもそも人からお金を借りるという時点で、借りる方もかなりの葛藤があった上でのやむを得ない手段だと思います。本当に切羽詰まっていて申し訳ない気持ちがある人であれば、精一杯の誠意を見せるために、自ら借用書の作成を申し出てくるものです。
そうではなく口約束でお金を借りようとする人は、お金に対しての価値観が低い人か、今までもそうしていろんな人からお金を借りてきた人と思ってほぼ間違いありません。
借用書の作成を提案することで、「大丈夫。絶対に返すから。」と言ってくる人もいるでしょう。中には「私のこと信じてくれないの?」と泣きの演技が入る人もいるかもしれません。
ここまで来ればもう確信犯です。正々堂々と借用書の作成を認めてくれないのであれば、お金を貸さない旨を相手に伝えましょう。
2.「借用書」の書き方は?
それでは、「借用書」はどのように作成すれば良いのでしょうか?
適当にその辺にある紙とペンで、お金を返してもらう主旨の念書を相手の直筆で書いてもらうだけで良いのでしょうか?
これだけでもお金を貸したという証拠の一つにはなります。ただ「借用書」としての効果は非常に弱いんです。
必ず「借用書」に書くべき最低事項は以下の通りです。
・お金を貸した日の日付
・お金を貸した人の名前と印鑑
・お金を借りた人の名前と印鑑
・貸したお金の金額
・いつまでにお金を返すかの期日
・どのような方法でお金を返していくかの詳細
・期日までにお金を返してもらえなかった時のペナルティ
・保証人の人の名前と印鑑
貸し借りを行った人の名前は必ずフルネームで書きましょう。また印鑑はシャチハタなどの簡易的なものではなく、銀行などで使われるような正式なもの(銀行印・印鑑証明の印鑑)でお互いに押しましょう。
いつまでにお金を返すかも、締め切りを設けることはとても大切です。
旧知の仲の場合、この取り決めが非常に曖昧なのが特徴です。「いつでもいいから」というようなことを言って渡してしまってる人も多いでしょう。厳しいようですが、これは「返さなくてもいいよ」と同じぐらいの意味合いを持ちます。
どのような方法で返すかというのは・・。
毎月決まった額を返済していくのか?それとも期日までに一括で返済をするのか?返済方法は現金での手渡しなのか?銀行口座に振り込むのか?それとも小切手でやり取りを行うのか?などの取り決めです。
もしも毎月一定額を返済するのであれば、何日までに振り込むということまで決めておきましょう。その期日が1日でも過ぎた時点で、相手に連絡を入れる権利が生まれます。
期日までにお金を返してもらえなかった時のペナルティというのは、いわゆる「利息」のことです。
「親しい中で利息を取るの?」と後ろめたい気持ちになる人もいるかもしれませんが、ここまでしっかり取り決めをすることで、相手から確実にお金を取り戻すための牽制になります。
ごく小額の利息でも構いません。返せなかった時にはお金ではなく、何か別なものを担保にしてそのものを差し押さえるというようなペナルティでも良いでしょう。中には「今回の取引で返済期限を守れなかった場合は、今後一切お金の貸与を行わない。」というペナルティもあります。
これは何回もお金の無心をされることを拒む効力があるかもしれませんが、貸した分のお金を取り戻すことには繋がらないので、あまりお勧めはしません。(なら今回のお金は返さなくてもいいや!と相手は思ってしまいます。)
場合によっては「保証人」を立ててもらうことも必要です。
お金を安易に借りてしまう人の特徴として2つのパターンあります。第三者を置くのを極端に嫌うタイプの人と、保証人を頼むことにも抵抗がなくなってきている人です。
後者はかなり重篤な状態ですが、前者の場合はある程度の良識が残っています。
自分だけならまだしも誰かに迷惑をかけたくない・・・という気持ちが働くので(借金をしていることがバレたくないという思いもありますが)、保証人の話が出た時点でお金の貸し借りを辞退してくる可能性があります。
3.法的に有効な借用書を作るためのコツ
貸したお金が高額な場合、特に慎重になる必要があります。
いざという時のために、法的にも有効な借用書を作成しておきたいものです。
大きな会社であれば専用の書面が既に用意されていて、専属の部署の人がいるでしょう。一般家庭や個人経営の会社の場合は、なかなかそこまで資料を揃えていることが少ないです。
どうしても「感情」が優先してしまって、略式的な書類になってしまいがちです。
相手を信頼しているからこそ、しっかりとした借用書を作成することは、お互いの今後の関係性を大切にしていくことにつながります。万が一の時のために裁判でも通用するような借用書を作成しておきましょう。
借用書には一般的に「借用書」といわれるものと「金銭消費貸借契約書」の2種類があります。
記載される内容に大きな差はないのですが、「借用書」がお金を借りた方のみが署名して貸している方が保管するという書類なのに対して、「金銭消費貸借契約書」は双方が署名押印し、お互いが一通ずつ契約書を保管するものです。
この場合、後者の方がより有効な契約書類になることをおわかりいただけると思います。
貸主が書類を改ざんする危険性もないですし、借主もいつでも約束事項を確認することができます。
お金を借りている方は複数の人と契約を交わしていることが多いので、悪気がなくても契約内容が混乱し期日を失念してしまうことがあります。そのためにも双方が同じ内容が書かれた書面を保管し合うことはとても大切です。
これらの書類には国で決められた正式なフォーマットはありません。インターネット上では「金銭消費貸借契約書」の様々なテンプレートが用意されていて、無料でダウンロードすることができます。
その中でも、より契約内容を詳細に書ける種類のテンプレートを選んで、プリントアウトをして活用しましょう!
「金銭消費貸借契約書(google検索)」と検索すると、上位に表示されるサイトのほとんどが「PDFデータ」の直接ダウンロードページになっています!
さらに、金額が高額であるほど「連帯保証人」の設定をお勧めします。借主に返済能力がなくなった場合、連帯保証人に返済の義務が生じます。
借用書の作成は、お金を貸すタイミングで行うことがベストですが、実際お金を貸してしまった後に契約書を交わすこともできます。
この場合の契約書は「債務承認弁済契約書」といいます。「私は間違いなくあなたにお金を貸しましたよ」ということを承認してもらうための契約書で、それ以外の部分は借用書と同じ内容で問題ありません。
これらの書類があれば、いざ裁判になった時にも証拠書類として十分な効力を発揮します。
さらに「差し押さえ」などの手続きを確実に行いたい場合は、「公証役場」というところで「公正証書」を作成し保管してもらうと言う手段もあります。
ある程度の費用はかかりますが、これらの書類を揃える場合には法律の専門家が間に入るので、確実なお金の回収をすることが期待できます。
4.まとめ
借用書の書き方とお金を取り戻すための「コツ」を覚えておきましょう!
借用書はお金を貸した側のためのものと思われがちですが、実際にはお金を借りた方のためでもあるということを忘れてはいけません。
これからも相手との良好な関係を望むのであればなおさら、双方の記録に残す書類をきちんと残しておきましょう。
「思い出は記憶に、約束事は記録に」これが人間関係の合言葉です。
参照元:金銭消費貸借契約 – Wikipedia
参照元:債務承認弁済契約書|国税庁
参照元:公証役場一覧 | 日本公証人連合会