国民年金を支払っていない場合はどうなる?結末までの道のりを確認しよう。
1.「国民年金制度は破たんする」は本当?
2.「障害年金」「遺族年金」を忘れないように!
3.滞納者の取り立てが厳しくなっていきます!
4.「未納」から「最終催告状」まで
5.差し押さえが執行される事も!
6.支払えない時は窓口に相談しましょう
7.まとめ
「支払っても支払わなくてもいい」
このイメージが強い国民年金を、滞納した経験がある人もいるかもしれません。
今までは、国民年金を支払わなくても何となくスルーできたかもしれません・・。
しかし、国民年金の支払いは義務なので「支払わなくても大丈夫」という事ではないんです。
実際に国民年金を払っていない場合、どうなるのでしょうか?
「将来、年金が受け取れない」という程度の事は知っていても、その他の事って良く分からないですよね?
もし「国民年金を払わないでいるとどうなるのか?」詳しい結末と過程を正しく確認しておきましょう。
1.「国民年金制度は破たんする」は本当?
「国民年金」の加入者は、会社に勤めている人や公務員などではない自営業や学生、アルバイトなどが中心で、日本全体で1,700万人程度だとされています。
実は、その3割近くに当たる人が、国民年金を滞納しているという現実があります。
その中には、「どうせ年金制度は破たんする」「破たんするなら、お金を払っても無駄」と割り切って、国民年金の支払いを拒否している人もいるかもしれません。
しかし、国民年金制度は本当に破綻するのでしょうか?
国民年金を未納する人がいる一方で、会社員や公務員として働いている人は、国民年金を給料から天引きされていますので、未納者は基本的にはいません。
つまり会社員や公務員を含めた場合、国民年金を未納しているのは「ごくわずか」という現実があります。普通に考えれば、「国民年金制度は、そう簡単に破綻しない」という結論に達します。
年金を受け取る時期を迎えた時に、同じ年齢の人たちが年金を受け取っている姿を見た時に、どう思うでしょうか?
「破たんする」と予想した自分を悔いる事になるかもしれません。
2.「障害年金」「遺族年金」を忘れないように!
「国民年金制度が破たんする」と言って、国民年金の支払いを拒否している人たちは、「老齢年金」にだけ注目している人かもしれません。
国民年金は老後にもらえる「老齢年金」以外にも、「障害年金」「遺族年金」という2つの年金がある事を知っているでしょうか?
例えば事故や病気になってしまい、心身に障害が残った時は、症状に応じた「障害基礎年金」が給付されます。
障害を持ってしまったら、誰でも自動的に障害基礎年金を受け取れる。そう思っている人もいるかもしれません。
また亡くなってしまった時には「遺族基礎年金」が給付されますが、こちらの年金も日本国民なら誰でも受け取れる年金だと思っている人がいるかもしれません。
しかし「障害年金」「遺族年金」を受け取るためには、「国民年金への加入期間が一定割合以上である」という条件がつきます。
つまり国民年金の支払いを無視している人達は、障害年金や遺族年金を受け取る事ができません。
確かに20代の人が、自分が老齢年金を受給している姿を想像するのは難しいかもしれません。40年近く後の日本が、どのような姿になっているのかをイメージするのは難しいでしょう。
しかし思わぬ事故や病気の結果、障害を負ってしまう可能性は誰にでもあります。そのような状況になった時に、障害年金がもらえない事を想像すると…かなりリアルなイメージになるのではないでしょうか?
3.滞納者の取り立てが厳しくなっていきます!
国民年金を未納にしても、それほど厳しい取り立てがありませんでした。
何となく時間が過ぎるのを待てば、2年間の時効を迎えて、支払う義務がなくなったという人が多かったはずです。
しかし2010年代に入ると、政府が国民年金制度を維持するために、国民年金の未納を見逃さないという強い姿勢を打ち出すようになりました。国民年金の未納者に対しては、「差し押さえ」などの強制徴収を実施する例も出ています。
特に「マイナンバー制度」は実施されてからは、「払えるのに払えない」として、政府が悪質だとみなす滞納者を、容易に見分ける事ができるようになっています。
これからは「マイナンバー制度」によって、国民全員の銀行口座の中身までが丸わかりになる時代です。
このような状況になると、経済的余力があるのに、国民年金を滞納する人に対しての、強制徴収を実施する可能性が高くなるはずです。
4.「未納」から「最終催告状」まで
国民年金を滞納するとどうなるのでしょうか?国民年金を滞納した場合の流れを見て行きましょう。
まず国民年金には決められた納付月があり、その翌月の月末を過ぎると「未納」となります。例えば8月に納付すべき国民年金を支払わなかった場合は、9月の末を過ぎた段階で、「未納」とみなされます。
国民年金の未納が確認されると「催告状」と呼ばれる手紙が届きます。
催告状を無視し続けて、国民年金を滞納し続けると「特別催告状」と呼ばれる、さらに上のレベルの催告状が届きます。
さらに特別催告状が来ても滞納を続けた場合は、「最終催告状」という書類が届く可能性があります。
これは「本気で法的な手続きに進みます」という「最後通告」のような役割の書類です。基本的にはこの書類が届いた段階で、すぐに対応すれば問題は起こりません。
国民年金を支払う気持ちがある人で、もし最終催告状が届いたばかりの人がいたら、すぐに支払う準備を始めた方が良いかもしれません。
5.「差し押さえ」が執行される事も!
最終催告状が届いても、国民年金の支払いをしなかった場合はさらなる「督促状」が届きます。
督促状には支払い期限が記載されていますので、その期日までに支払えば問題は起こりません。しかし支払期日が過ぎた段階で「延滞金」が発生します。
利率はなんと「14.6%」です。カードローン並みの高い利率に設定されています。ちなみに経済的に苦しくて、支払う能力が無い人に対して、督促状が届く事は基本的にありません。
延滞金の加算は、支払う能力があるのに支払わない人に対するペナルティだからです。
さらにこの段階では、いつ「差し押さえ」などの強制徴収が起こったとしても不思議ではありません。
差し押さえにあえば、給料の支払いなどに使用している銀行口座が凍結されてしまうかもしれません。すぐに日常生活に支障が出ますし、仕事先にも国民年金を滞納していた事がばれてしまうでしょう。
6.支払えない時は窓口に相談しましょう
もし国民年金の支払いを意図的にしているのではなく、経済的な理由で国民年金を支払えない人に督促状が届いてしまった時はどうすればいいでしょうか?
そのまま無視をするのではなく、市区町村の国民年金の窓口に相談するようにしましょう。
担当者と話し合った結果「免除」や「猶予」を得る事ができる制度があるからです。
免除や猶予を得ている場合は、仮に国民年金を支払っていなくても、「障害年金」「遺族年金」を受け取る事ができます。
借金をしている人など生活苦に陥っている人だけでなく、確定申告をした時に所得がほとんどない状態の人、例えば源泉徴収が全額返還されるような人は、ほぼ間違いなく免除や猶予を受ける事ができます。
面倒だと感じるかもしれませんが、将来の事や万が一の事を考えて、窓口に相談をするようにしましょう。
7.まとめ
国民年金を支払っていない場合どうなるのか?その流れと結末を見て行きました。
「老齢年金」を受け取る事ができないという結末以外にも、「障害年金」「遺族年金」を受け取れないという重大な結末があります。
さらにその過程で「差し押さえ」にあうなど、大変な事態になってしまう可能性もあります。
国民年金を支払う能力がある人は、きちんと支払いをして、無理な人は市区町村の窓口に相談するようにしましょう。
参照元:年金に加入している方 これから加入する方|日本年金機構
参照元:障害年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)|日本年金機構
参照元:遺族年金 – Wikipedia