誓約書の種類と詳しい書き方をご紹介します!〜効力・義務・意義について〜
1.誓約書の意味は?
2.誓約書の種類と書き方
3.誓約書の法的効力
4.誓約書の内容の遂行義務
5.誓約書の意義
6.まとめ
誓約書とは、両者で交わす約束の覚書のことです。
会社同士で正式に交わす誓約書もあれば、個人間同士で交わす簡略的な誓約書まで様々あります。
「親しき仲にも礼儀(誓約書)あり」という言葉もあるほどです。
1.誓約書の意味は?
誓約書は両者で交わすものなので、2部を作成し両者で保管することが一般的です。
両者のサインがあれば一部でも問題はないのですが、紛失の恐れや書き換えなどのトラブルの元になるので、必ず双方が控えを持つようにしましょう。
有名なものには機密保持誓約書というのがありますが、契約内容によって書類の雛形がいろいろあります。その会社独自で用意されているテンプレートもあれば、インターネット上で入手できる原紙もあります。
誓約する内容と日付、誓約を交わす者の署名・捺印があれば契約書としての効力は発揮されます。
「契約書」との違いが曖昧ですが、契約書が双方が合意内容を書面に残すのに対し、誓約書は一方が相手に対して、ある特定の約束を遵守する旨を書面に残す意味合いが強いです。
したがって、約束する方が署名・捺印し、受け取る側に差し入れするスタイルが一般的です。
この誓約書に書かれた内容は、何かトラブルを起こした者に再発を防ぐ目的や、トラブルの元になるような行為をあらかじめ行わない約束を交わす時などに使われます。
2.誓約書の種類と書き方
誓約書には様々な種類があります。ここでは代表的ないくつかの例を挙げて、その中身と書き方について紹介していきます。
▼【秘密保持誓約書の書き方】
新入社員や中途採用で新しい勤務先に就職した時に、雇い主である会社に提出する書類です。
会社には外部に漏らしたくない製品情報や、営業上の秘密がたくさんがあります。その中には個人情報の漏洩も含まれます。個人情報には顧客の情報以外に従業員の個人情
報も含みます。
これらの秘密を守るための約束が秘密保持誓約書です。秘密保持誓約書は会社独自で用意されていることが多く、情報漏洩をしない旨の約束や、情報を他に漏らしていない
かどうか確認するための調査に協力する誓約などが書かれています。
最近では SNS をやっている若者がほとんどで、会社の情報漏洩に対して緩い感覚の人が増えてきています。ますますこの秘密保持誓約書についての認識や、より詳しい約束事が記載された誓約書が求められている状態と言えます。
▼【入社誓約書の書き方】
秘密保持誓約書と 混同されやすいですが、こちらは入社する前に内定した会社に提出する覚書です。
内定が決定した人が簡単に辞退したり 、他者への就職活動を続けたりしないように「必ず入社を約束します」と約束する承諾書になります。
もちろん就職する側にも職を選ぶ権利はあるので、この誓約書を記入しない権利もあります。しかしこの誓約書に記入した時点で上記を約束したことになるので、慎重に誓約内容を確認するようにしましょう。
この書類には採用を約束する文言の他に、入社までに必要な書類の提出や、住所変更などの身上変更があった場合の届出義務などが書かれています。
▼【離婚協議書の書き方】
結婚する時より色々な約束事が生じるのが離婚です。
円満に離婚する場合も誓約書があるのとないのとでは、その後のトラブルの発生率が変わります。
記載する内容は、夫婦共有財産の分与をどのように行うかや、離婚原因がどちらか一方にあった場合、離婚の原因を作った配偶者が払う慰謝料の内容などがメインになります。
また子供がいれば、子供の親権問題も関わってきます。どちらが親権を持つのか、成人するまで養育費をどうするのか、子供との面会の頻度など、別れた後に必要になってくる約束事を全て書面に残しておきます。
▼【金銭貸与誓約書の書き方】
お金の貸し借りに関する誓約書です。お金を貸した方が、期日までに定められた金額を返すよう、借りた方に記入してもらう覚書です。
貸した日付・金額・返却期限の他、返す方法や利子についても触れておきます。
お金に関するトラブルは、その後の人間関係を大きく左右してしまいます。たとえどんなに親しい仲であっても、どんなに少額であっても、返してもらう目的があるお金である以上、きちんと誓約書を交わすことが大切です。
また、金銭に関する覚書には法的にもっと有力になる正式な書類があるので、高額になればなるほど公証役場などを通じて、裁判で証拠と認定される種類の書類を用意しておくようにしましょう。
3.誓約書の法的効力
誓約書には、どのぐらいの法的効力があるのでしょうか。
本当にお互いの署名・捺印があれば、素人が作成したものでも誓約書として成立するのでしょうか。
結論から言うと、誓約書には法的な効力は持たないというのが現実です。これが契約書との大きな違いです。
誓約書は片方が決めた約束を、片方に守ってもらうと言う意味合いの書類なので、約束事の内容は片方による一方的なものであることがほとんどです。
念書と呼ばれることもあり、何かトラブルが起こった時の証拠にはなりますが、その内容を遂行するための絶対的な要素にはなりません。
一方で、契約書や収入印紙を貼付するような覚書などには、その内容を遵守するに値する効力があるので、その違いを十分に理解しておきましょう。
4.誓約書の内容の遂行義務
法的効力がないのであれば、本当に誓約書を交わす必要があるのでしょうか。このような疑問を持ってしまうことでしょう。
ここで誓約書に書かれることが多い内容をもう一度おさらいしてみます。
会社と交わす契約書であれば、秘密保持や人事異動に関する約束事などが、夫婦間の問題であれば離婚した後の親権や慰謝料についてです。つまりお互いにとって、最低限の必要な交通整理の意味合いを持つ書類ということです。
誓約書を作成する人によっては、もっと踏み込んだ内容の誓約書を作る人もいます。
例えば「自己都合の残業代は支払わない」「売れ残った商品は自腹で購入」「浮気をしたら財産の全てを差し押さえ」「新しい恋人ができた時点で慰謝料はストップ」などです。
これらはあまりにも一方的な過剰な要求と捉えられ、たとえ双方のサインがあったとしても、実際は誓約書の内容を遂行する必要がないケースも出てきます。
5.誓約書の意義
最後に、誓約書を書く意味について改めてお話ししていきます。
法的に絶対的な効力はない誓約書ですが、かと言って全く何も約束事を残しておかないと、約束自体が無かったことになってしまうことがあるのです。
将来裁判で法的に争う必要がないことでも、誓約書を交わすことでお互いの意思をいつまでも記録として残しておくことができるのです。
記録として書面にしておくことで、いつでも約束事の確認をすることができますし、相手に対する権利を申し出ることができます。
言った言わないのトラブルも解決されます。親しい仲であればあるほど、片方の記憶違いを指摘しづらくなります。また契約書に署名・捺印する側も、約束事に一定ラインが定まっていることで救われることもあるのです。
誓約書は必ずサインしなくてはいけないというものでもありません。記載内容に不満がある場合は約束を拒否する権利もありますので、十分に内容を理解した上で交わすようにしましょう 。
6.まとめ
人間関係のトラブルのクッションになるようなもの。それが誓約書です。
もしもの時のダメージをできるだけ少なくできるツールとして活用していきましょう。