夫の扶養から外れる手続きを徹底ガイド!忘れた時に起こる悲劇とは?
1.「扶養の条件」とは?
2.扶養を外れるタイミング
3.妻を扶養から外す手続きについて
4.妻が扶養から外れる時の手続き
5.手続きを忘れた場合はどうなるの?
6.まとめ
パートの仕事時間が増えて収入が多くなったとき・・。
配偶者が正社員として就職したとなると、夫の扶養を外れる必要があります。
扶養に入る手続きは夫の会社で簡単に出来るのですが・・。扶養から外れるとなると、自分で手続きをする必要があります。
実際に扶養を外れる方法はどうなっているのでしょうか?
もし、手続きを忘れた場合はどうなるのでしょうか?
絶対に覚えておきたい。大事なポイントを確認しておきましょう!
1.「扶養の条件」とは?
妻が夫の扶養に入る場合。「税金の扶養」と「社会保険の扶養」という2つのタイプを知っておく必要があります。
扶養となるためには、以下の様な条件が定められているので、まずはこの条件を理解しておきましょう。
・税金の扶養: 年収が103万円以下であること
・社会保険の扶養: 年収130万円未満であること
夫の扶養に入っている妻が仕事をする場合。「103万円の壁」という言葉をよく耳にしますよね?
これは「税金も社会保険も扶養」という、どちらの条件も満たしている場合のことです。
例えば妻の1ヵ月の収入が8万円程度ならば、一年間の収入は100万円前後ですので、税金も社会保険の条件も同時にクリアしています。
そした収入が高くなるにつれて、税金の扶養から外れる。社会保険から外れる。という順番になります。
2.扶養を外れるタイミング
一般的なサラリーマンの場合。会社に「扶養控除等の異動申告書」を提出します。
その時に、扶養となる家族の1年間の所得の見込み額を記入する必要があります。
この金額が103万円以上になる場合、扶養から外れるということです。
税金の扶養は、1月~12月の所得で決まるので、年度中の変更はありません。
これに対して社会保険の扶養は、常に現状を基準にしているので、年間の収入見込みが130万円を超えると分った時点で、年度中でも申告しなければならないのです。
3.妻を扶養から外す手続きについて
扶養の手続きは、黙っていても誰も手続きをしてくれません。自分から申し出ないと、いつまでも変更できないのです。(この点は本当に大事なポイントです♪)
妻が夫の扶養から外れる時には、夫がまず行動する必要があります。
▼【①・まずは「健康保険被扶養者(異動)届」を提出する】
会社の人事を扱っている部署に「妻を扶養から外したい」ということを伝えましょう。
担当部署から「健康保険被扶養者(異動)届」を渡されますので、そこに必要事項を記載して提出します。
担当者が不在だったり、わからないという場合。会社が加入している健康保険組合に問い合わせをしてみましょう。
この時に書類と一緒に、妻の分の健康保険証を忘れずに返却する必要があります。
▼【②・「被扶養配偶者非該当届」を提出する】
妻が社会保険ではなく、「国民年金・国民健康保険」に加入する場合には「被扶養配偶者非該当届」が必要です。
「年金のお知らせ」の中で、扶養家族なっている妻に「第3号」というタイトルが付いてくることがあります。
「第3号被保険者」とは、年金の加入者である夫のに扶養されている人を指し、夫は「第2号被保険者」になります。
「被扶養配偶者非該当届」は、妻が第3号被保険者の資格を喪失したことを申告する書類です。
企業の厚生年金や健康保険は、妻の分を会社が負担しています。
「第3号被保険者」のままだと、年金の徴収がスムーズにできず、後で追加として請求されるなどトラブルに発展する可能性があります。(この点には特に注意しましょう!)
▼【③・「資格喪失証明書」が交付される】
妻が社会保険の扶養から外れたら、「資格喪失証明書」を発行して貰います。
これは、妻が「国民年金・国民健康保険」に加入する時に必要な書類ですので忘れない様にしましょう。
会社から貰えなければ、夫が加入している社会保険組合に問い合わせする必要があります。
▼【④・年末調整の時に書類をきちんと記載する】
サラリーマンの場合、年末になると会社から以下の書類を貰います。
【「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書」】
これは、年収103万円以下の配偶者がいる場合、「配偶者控除」を受ける為に必要な書類です。
妻を扶養から外した場合には、妻の名前は記載せずに提出します。
【「給与所得者の保険料控除及び配偶者特別控除の申告書」】
妻の年収が103万円~141万円未満の場合、「配偶者特別控除」を受ける為に必要な書類です。
妻の年収が141万円以上の場合には控除はありませんので、記載せずに提出します。
4.妻が扶養から外れる時の手続き
妻が扶養から外れる場合には、社会保険や厚生年金に加入している会社に勤めるのであれば、会社が全ての手続きを行ってくれます。
年金手帳を提出する様に言われるので、準備しておきましょう。
ただし、勤務先が自営業の場合には、自分で「国民健康保険・国民年金」に加入手続きをする必要があります。
「国民健康保険・国民年金」への切り替え手続きは自分で行うしかありません。
社会保険や厚生年金の加入手続きは会社でして貰えるので、脱退した場合。
会社が「国民健康保険・国民年金」に切り替えてくれるだろうと思っている人もいますが、まずそれはありえません。
現在でも多くの人がそう思っていたところ未加入のままだった、という事例が発覚しています。
いつまでも手続きをしないと、健康保険証が手に入らなかったり、年金の未納期間ができてしまいます。
法律で「扶養を外れてから14日以内に手続きをすること」と定められていますので、忘れない様にしましょう。
▼【①・国民年金】
自分が住んでいる市区役所・町村役場に行き、「第3号被保険者」から「第1号被保険者」へ変更する手続きを行います。
この時に、夫の社会保険組合から発行される「資格喪失証明書」が必要になるので、忘れない様にしましょう。
▼【②・国民健康保険】
「国民年金」と「国民健康保険」の窓口は近くにあることが多く、一度に手続きできる様になっています。
必要書類を揃えていけば、当日保険証を発行して貰えることもあります。事前に役所に問い合わせてから行くようにしましょう。
5.手続きを忘れた場合はどうなるの?
「国民健康保険」や「国民年金」の加入日は法律で定められています。
夫の扶養になっていて「第3号被保険者」の場合、健康保険料も年金も、企業が50%負担してくれています。
現在夫が支払っている社会保険料が3万円ならば、妻の分の3万円を企業が払ってくれているのです。
扶養から外れて「第1号被保険者」になったのに「第3号保険者」のままでいると、不正が発覚した時点からさかのぼって請求がきます。
手続きを忘れていた分だけ、妻の社会保険料を支払わなければならないのです。一度に請求が来ると家計にかなり打撃を与えることになります。
また、社会保険と厚生年金から外れたものの、「国民年金」と「国民健康保険」への切り替えを忘れていたという人も多くいます。
この場合、健康保険証が手元にないので、病院に行っても自費治療になります。
病院で保険治療を受けると3割負担ですので、普段医療費が3000円かかる人は、自費治療だと1万円かかることになります。
検査が入ると益々金額が高くなり、入院や手術などは受けられなくなります。
そして未加入状態で病気になり、病院にかかりたくて慌てて手続きをすると、今迄滞納していた分をさかのぼって納めなければならないのです。
しかし医療費を自己負担にすると、それよりも更にお金がかかります。
健康保険証が手元にない場合、病院の窓口で100%医療費を支払い、役所で手続きをして保険証を手に入れてから差額を返して貰うという方法もあります。
しかしその時に保険料をさかのぼって徴収されるし、一時的とはいえ医療費を数万円仮負担するのはかなり辛いものです。
6.まとめ
扶養家族は様々な優遇を受けています。
しかし社会の流れとして、これからその優遇措置は段々となくなっていく傾向にあります。
妻の収入が増えた場合、速やかに夫の扶養を外れる手続きをしましょう。
参照元:年金に加入している方 これから加入する方|日本年金機構
参照元:国民健康保険 – Wikipedia
参照元:国税庁|公式サイト